今日もいつもと変らない。 お昼頃、サガミと一緒に起きてロフトを駆け下り、ご飯をねだって「カルカン」を食べる。
しかし、もう3日連続で「カルカン」だ・・・。サガミはあたちがグルメだってことに気がついていないらしい。
うんにゃ、気がついているのに、ご飯代節約のためディスカウントショップでまとめ買いをするから
同じご飯しか出てこないのだ。
ちょっと食べてから前足で砂をかけるフリをして「カルカンはもう飽きた」っと言ってみたけど、
サガミは見てみぬフリだ。しばらくして、また同じ訴えをしてみたら「わがままを言うな!」っと叱られた。
こちらも負けじと睨み返してはみたものの、サガミはやっぱり見てみぬフリを決め込んでいる。(クスン)
このまま我慢比べを続ければ、餓死してしまう。こんな都会の真ん中でそれだけは避けたいと思い、
仕方なく、ホントに仕方なく「カルカン」を食べることにした。
この頃あたちはベランダに出るのがお気に入りだ。
サガミが洗濯物を出したり、お花に水をやるために網戸を開けた瞬間に飛び出すのだ。
その後、しばらくベランダからの景色を楽しんだり、すずめたちがくるのを待っていたりする。
鳩さんの小屋の上でウトウトすることもある。暖かい陽だまりに体を包まれてお昼寝をするひとときは、
「あ〜、猫に生まれてきてホントによかった!」と心の底から思える瞬間である。
ところが、今日事件が起きた。
あたちがベランダでのひと時を楽しんでいると、ピンポーンと
宅急便屋さんがやってきた。サガミは忙しなくハンコを探したりと宅急便の対応に追われている。
そんなサガミを横目にあたちはベランダでのお昼寝を中断し、押入れの中を探検することにした。
押入れの中は、狭くて真っ暗でひんやりとしていてとっても気持ちがいい。
そう、ここもお昼寝には絶好の場所だ。
探検を楽しんだのもつかの間、あたちはまた睡魔に襲われてしまった。
ウトウトしていると、なにやらベランダでバタバタと忙しない音とあたちを呼ぶ声が聞こえてきた。
しばらく無視をしていたけど、あまりにも騒がしいので「にゃんにゃの??」と
押入れから出ることにした。
ベランダに目をやると、そこには形相を変えたサガミがベランダから身を乗り出し、
今にも落ちそうな格好で、下や隣の部屋を覗いている。
何事かと思い、「フニャン!」っと一声鳴いたら、ビックリ顔のサガミと目があった。
「ニャニゴト?」っともう一言声をかけたら、すごい勢いでサガミはあたちに駆け寄り、
そしてあたちを強く抱きしめた。ちょっと苦しかった・・・。
でも安堵の表情を浮かべたサガミを見て、あたちはすぐにこの事態が把握することができた。
そう、サガミはあたちがベランダから下に落ちたり、隣の部屋に行ってしまったんじゃないかと思ったのだ。
あ、っそっか、サガミはあたちが押入れに入ったことを知らなかったんだってね。ばっかね、うふふ。
そのあと、サガミは一通りあたちを撫で、網戸をピシャリと閉めてこう言った。
「もう、ベランダに出てはだめ!」
・・・・・・、そ、そんにゃぁ〜・・・!!
だ、だって・・・、サガミが勝手に勘違いして、勝手に騒いで、勝手に驚いて、勝手に安心しただけじゃにゃいかぁ〜〜。
勝手にそんなこと決めるにゃ〜〜!!
あたちのルールはあたちが決めるよ、っとその後も何度かベランダに出ようと試みたけど、
サガミがいつも目を光らせているので、思うように出れなくなってしまった・・・。
そこで、あたちは仕方なく、ホントに仕方なくお気に入りの座布団の上でお昼寝をすることにした。
あたちは一日の殆どを寝て過ごす。
たまに起きて鳩さんを眺めたり、爪を研いだり、毛づくろいをしたり、部屋を猛ダッシュで3往復したりするけど大半は寝ている。
そんなあたちに、サガミはグチグチと愚痴をこぼす。
愚痴だけならまだ我慢もできるが、エキサイトしてくるとその愚痴はいつのまにか説教に変っている。
「毎日毎日寝てばっかりいて」と言うセリフから始まり、その説教は延々と続くのだ。
「何か他にすることはないの?」
「何の為に生まれてきたか考えたことはある?」
「ホントにあなたはそれで幸せなの?」
「他の猫はどうしているんだろうっとか不安にならないの?」
「ご飯を食べて暇さえあれば寝てばかり・・・、そんな人生であなたは満足できるの?」
「働かざるもの食うべからずってことわざ知ってる?」
「そんなに寝てばかりいて、脳みそが腐っても知らないからね!!」「寝てばかりいる人生に罪悪感を覚えないの?」
などなど・・・・・。
終いには、「何で肉球があるのぉ〜〜??」などと言って、許可もしないのにあたちの肉球をプニプニと触ってくる。
こんな訳もわからない説教が1時間近く続く時もあるのだ。
聞き飽きたよ・・・っと場所を変えたり、欠伸をしたりすると、
「ちゃんと聞いてるの??」とどこまでも追いかけてきて睨むから始末に終えない。
あたちは猫だから『人生』じゃないし、寝てばっかりいるのはやっぱり猫だからで、脳みそだって腐るわけが無い。
仕方がなく、ホントに仕方なく猫をやっているのだ。
いや、仕方なく・・・ではないにゃ。
あたちは猫であるがゆえに、猫なのであるからにして、猫でよかったっと心から思うのである。
そして、あたち憂鬱の日々はまだまだ続くのである。
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